【短編】遠距離サンタの贈り物
「……ったく」
いつもなら、からかうようになだめてくれる彼が黙り込んだ。
「クリスマスぐらい何だよ。小さいガキじゃあるまいし!」
何?、クリスマスぐらいって。クリスマスが大事なの、分かってよ。
「ガキ? ガキで悪かったわね! 女ひとりのクリスマスがどんだけ惨めかあんたにはわかんないわよっ! 馬鹿!!」
ぷっつりと通話は切れた。彼がキレた。
*―*―*
あれから1週間。別に変わらない。生活はなんにも変わらない。彼がいなくても朝になれば起きて支度して仕事に出て時間になれば上がる。ご飯をひとりで食べて寝る。
こういうときは遠距離恋愛って楽かなあ。いつも会えないからいないことに免疫がある、というか。
店にくるお客さんを物色する。店の前を通る男の人を眺める。
でも目で追ってしまうのは彼と同じ背丈の人、同じ髪型の人、同じ整髪剤の人、同じくジョークを飛ばす明るい人。他の人を探すなんて考えていても、私が探してるのは彼なんだ……。