星の降る夜、僕は君に嘘をつく。
椿先輩か聖也先輩、どちらか。

「佐伯心春。」

「「「わっ」」」

――え?
部長さんの口から呼ばれた名前を聞いて私は完全に放心状態になった。

どこか遠くから歓声が聞こえる気がする…

「「心春。」」

私の肩に2つの手が乗せられる。

私が顔をあげると目に涙を溜めた椿先輩と聖也先輩がたっていた。

「私…」

「そう、あなたが踊るの。」

「おめでとう、頑張れよ。」

二人は少し鼻声な声で話す。
私は思わず、二人に抱きついた。

「先輩…、ごめんなさい。」

二人にとっての最後の冬公演。
そのソロ曲の座を私が奪ってしまった。

ごめんなさい、でも私は精一杯踊りきる。
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