星の降る夜、僕は君に嘘をつく。
聖也Side
昨日の選抜試験を見て驚いた。
心春が今までにないほど成長していた。

もしかしたら抜かれたかもしてない。
ヒヤリとする自分がいた。

全員が同じ曲を踊っているはずなのに彼女だけは違う曲のように見えた。

アイツは表現力が突出して高い。

それをよしとするかどうかはその人によるが、あの圧倒的な存在感を見て惹かれないことはないだろう。

柔らかさの中に潜む芯の強さ、軽やかさの中の隠れた力強さ。
それを表現できるのは心春だけ。

でも相良に勝って部内3位まで登り詰めるとは、思わなかった。

そして俺たちの5回目の、最後のソロ曲の踊り手の座は心春のものとなった。


ダンス部のトップスターはキャプテンである俺や椿でも部長の相良でもない。

俺たちの3つ下の佐伯心春という名の突然現れた流星に盗られたのだ。
< 107 / 253 >

この作品をシェア

pagetop