星の降る夜、僕は君に嘘をつく。
「わ、私も…、き、す。」

私は小さな声で呟く。

「え、聞こえない。もう一度言って。」

先輩はにこにこと笑いながら言う。
この人、絶対に私の答えがわかってる。
絶対に、確信犯だ。

「っ…好きですっ!」

私はもう諦めて大声で言ってやった。

でもここはカフェ、公共の場。
周りの人がこっちを見てくすくすと笑う。

あぁ、やっちゃった。恥ずかしい…

私は机に顔を伏せた。

私は先輩の表情が気になって少し上を見る。
見えたのは先輩の真っ赤な顔。

「先輩?」

そう私が声をかけると、先輩は我に帰ったようにハッとする。

「流石にそんなはっきり大声で言われると恥ずかしい…」

そう言って左手で鼻から下を隠す。

そんな先輩が可愛く思えて私は少し笑った。
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