星の降る夜、僕は君に嘘をつく。
翌朝、私服でボストンバッグとトートバッグを持ち、家を出る。

「「ねえねー」」

私が靴を履いていると後ろからパジャマ姿の紅蘭と星蘭が走ってきた。
まだ6時過ぎなのに。

「ねえね、行っちゃうの?」

「ねえね、行かないで。」

二人は寂しそうに言う。

「大丈夫、明明後日には絶対帰ってくるから。」

私は二人を抱き締めて言う。

「そうだよ、紅蘭、星蘭。
心春は絶対帰ってくるよ。」

「碧兄。」

パジャマじゃなく普通の服に着替えた碧兄が二人の頭に手を乗せる。

「おはよ、心春。どうせ自転車だろ?
荷物多いんだから駅まで送ってくよ。」

あ、シスコン発動してる。

私は心の中で呟いた。

「ありがとう、碧兄。甘えちゃおうかな。」

私はこの1年半で学んだ。
シスコンを発動してる碧兄の提案にのらなかった時の碧兄は恐ろしいことを。
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