星の降る夜、僕は君に嘘をつく。
「じゃあ、俺を好きになればいいじゃん。」

「何言ってるの?
そんな漫画みたいなセリフやめて。」

さっきとは違う真剣な一馬の瞳にどきまぎしていた。

「俺は心春のこと好きだけど。」

「ね、冗談はやめて。」

私は目を逸らしたら負けてしまいそうで一馬の瞳から目を離さなかった。

「冗談じゃない。俺はお前が好きだ。」

その一馬の言葉の後、私たちの間に妙な沈黙が訪れた。

「手荷物検査です。バッグを開けて
ポケットの中身も出してください。」

しばらくすると手荷物検査が始まった。

「腕を挙げてください。」

私は自分の荷物が検査される隣で金属探知機をかざされていた。

ふと隣のレーンで同じことをしている一馬が視界に入った。

――一馬が私を好きかぁ…。
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