星の降る夜、僕は君に嘘をつく。
「いや、引かないでくださいよ?」

「うん。」

私は椿先輩の言葉を聞いて一息つく。

「妹の私から見てもかっこいいと思うし、人もいいんですよ。
ただシスコンなんですよ、それが。」

「は?」

椿先輩が珍しく目を大きく見開く。

「その対象は私なんですよ~。
いつも帰ると一番先に出てくるんですよ。

あ、ここですよ。」

私はいつも通り裏側に手を入れて門を開けて敷地に入る。

「可愛い家。」

「ふふっ、ありがとうございます。」

私はお礼を言って鍵を開ける。

「見てて下さいよ?一番に出てくるんで。」

私は笑ってドアの取っ手を引いた。

「お帰り、心春。…ってお客さん?」

「ほら、来たでしょう?」

どこからともなく現れた碧兄を見て私は小さく椿先輩にだけ聞こえるように言う。
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