明け方の眠り姫
見上げた空には、どこまでも穏やかなブルーが続いていた。
チャペルのドアの隙間から、人々の歓声が漏れてくる。私はそれを外のベンチに腰掛け、一人黙って聞いていた。
今日は和史と、彼の恋人である涼香さんの結婚式だ。きっと二人は今頃、彼らの結婚を祝う大勢の人々の前で、永遠の愛を誓っているのだろう。
普段はあまり感情を顔に出さない和史も、今日は美しく着飾った涼香さんを前に誇らしげな笑みを浮かべていた。
幸せそうな和史を見ていると、私も自然と笑みが零れた。
しかし、だ。彼が幸せになって良かった、心からそう思うのに、時おり体の中を濁った澱が下りていくような不思議な感覚に襲われた。
人々の前に立ち、愛おしげに見つめ合う二人を目にしたとき、それまで折り重なった澱で胸の中がいっぱいになった。
喉元まで醜い澱に塞がれて、上手く息が吸えなくなった。と同時に、私はようやく自覚した。
そうか、私はあの女性(ひと)に嫉妬しているのだ、と。