明け方の眠り姫
 建物の合間を吹き抜ける冷たい北風に煽られながら、私は一人外のベンチに腰掛け、静かな冬空を眺めていた。上を向いていなければ、際限なく泣いてしまうと思った。


 チャペルから、式の終わりを告げる荘厳な鐘の音が鳴り響く。タイムアウトだ。


 鐘の音を聞きながら、私はゆっくりと目を閉じた。体の中を埋め尽くした澱が、涙と共に体の外に流れていく。

 どうして私は、今まで泣くことをしなかったのだろう。我慢して溜め込んだ涙は、いつの間にか私の中で醜く汚い澱に変わっていたのだ。

 式を終えた人々が外に出て来るまで、私は思うさま涙を流した。これは、私だけの儀式だ。


 こうして私は、冬晴れの空の下、ひっそりと積年の想いに別れを告げた。

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