私があなた。あなたが私。
沙穂は何も言えなくなっていた。

―――バーカ――――


泣き真似してすっきりした私は、
家に帰ろうとした。
――――あ―――――
『伴(とも)くん……』
『大丈夫なのかよ…沙穂。辛かったら俺に言えよ?』
伴は、沙穂の男友達だ。

――からかってやれ―
そう思いついた私は、『伴くん…あたし…薫ちゃんに変な事言われちゃった…』
『変な事って?』
私は、全部話した。
もちろん、私が薫だったとは言わないで……
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