今の私は一週間前のあなた




中学で
修也と別れた愛妃ちゃんは数日としないうちに進と付き合いだした



愛妃ちゃんはクラスの女子たちに
『男好き。』とか
そんな噂をされていたけど




私は心の奥で修也に彼女がいなくなったことを喜んでしまっていた


サイテーだ。と自分を咎めても
私は自分に嘘をつくなんて器用なことをすることはできなかった
罪悪感から愛妃ちゃんと関わることを避けてすらいた




修也は明るくて優しくて面白くて
女の子からも人気があったけど
愛妃ちゃん以外の誰とも付き合うことはなかった


それと同時に
愛妃ちゃんも『男好き』なんて噂されても
進とは別れることはなく
高校2年までずっと付き合っている


進だけ教室が違うという残念な状況だけど
私たち3人は高校2年で一緒になって
仲良くなった


正直、修也の元カノと笑い合うことに違和感はあったけど


私と修也が付き合いだした日に真実を知ってから
今までよりもずっと仲良くなった



我ながら単純だとは思うけど修也の元カノというだけで
きっともっと早く仲良くなれていたはずなのに私が壁を作っていたんだ。




愛妃ちゃんは誰から見ても可愛い容姿をしている
パッチリと開いた丸い目と綺麗に整った眉毛
すらりとした鼻、
小さな唇に
目尻にあるホクロ。
少し色の抜けた内巻きの髪は風になびけばいい匂いがする

身長は高くもなく低くもなく。
胸はあるわけじゃなくて色っぽいとは言えないけど
“可愛い”を代表とした


いかにも漫画の主人公になれそうな“女の子”の中の“女の子”




それに比べて私は正義感が強くて立ち向かうくせに
なのに支えがなくなったらグラグラと崩れて。
特別可愛いわけでもモテるわけでもなくて


カーストがあるなら

愛妃ちゃんは上の上。
私は中の下

くらいだろうか



頭は少しだけ私の方が良くて
スポーツもギリギリ私の方が得意だと自慢できる
つまり、ふたりともそこそこ。という所



それでも可愛らしさでは0対100で負けだ



その可愛らしさから進がいても男の子には両手で数えられない程告白されていて、
そういう面では修也に似ているともとれるだろうか


高校に上がっても中学の『男好き』らしい噂は消えなくて
真実を知った私だったけど、みんなに
伝えることは出来なかった

しなくていい、と笑って言われたから…。


どれだけ悪口を言われても言われても
愛妃ちゃんは笑っていた

愛妃ちゃんは一般から見たらやっぱり可愛いから
きっと女子の僻みだろう事はわかっていた




私は笑う愛妃ちゃんの隣にいることしかできなかった



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