白の世界 (幼少期編)
「おいで」
優しい笑みで私を手招きする
それがあまりにもリュージとそっくりで、私はなんの抵抗もなく彼に近づいた
彼のすぐ前に立つと、彼は私をまたの間に座らせた
「(リュージと一緒だ)」
頭のすぐ上からリュージよりも低めの声が響く
「ココロ、リュージは優しいかい?」
うん。とても、
「それは良かった。」
なんとも言えない空気がこの部屋に流れている
「ココロがリュージの娘なら、俺はココロのじいちゃまかぁー」
おじいちゃん、
私にはそんな人いなかった
私には、あの人と知らないあの人だけ
「おじいさまなんてよんでくれてもいいのよ?」
「やだ」
「ぐはッ」
「あなた!」
やはり、リュージのお父さんだと言うのは紛れもない事実のようだ
そして、ふざけたように言うこの人にリュージのおかあさんは慣れた手つきでゲンコツをおとす
「痛いじゃないか、遥ハルカ」
「おだまり、瀧タキ。
ごめんねぇココロちゃん。この人バカで」
「む、バカとは聞き捨てならんぞ」
「うるさい、ちょっとくらい黙れないの?」
タキと呼ばれた彼は私に抱きついて泣き始めた
「あー、俺の味方はココロだけだぁー」
別に、味方などではない。