本日、結婚いたしましたが、偽装です。
「佐藤。俺は怒ってたんじゃなくて、食欲が無いくらい佐藤の体調が悪いのに付き合わせようとして悪かったっていう意味で言ったんだよ。それと、体調不良に気づかないで残業させたことにもだ。上司失格だろ?部下の体調の変化に気付けずに遅くまで働かせて飯にまで付き合わせる俺は。だから、さっきああ言ったんだよ」
俺は一気にそう言ってからシートベルトを外すと、ドアに凭れ掛かった。
目を瞑り、長く深く吐息をついた。
……そもそも、佐藤が暗い表情をして、それだけ調子が悪いって分かったはずなのにそれに気付かず、普通に残業させてはいけなかったんだ。
なのに俺は、その時も長く佐藤と居たかったからって、遅くまでさせて……。
つくづく、自分が馬鹿だと思った。
そして、佐藤に普段から俺のことは、『部下に無理強いをする上司』だと思われていると知り、深く落ち込んだ。
佐藤、俺は違うのに……。
「わざわざ説明しないと伝わらないのかよ」