本日、結婚いたしましたが、偽装です。
その後、落ち着きを取り戻した俺は、笑い過ぎて背中を痛くしながら深呼吸を一つして息を整えた。
「はあ〜っ…、久々に大笑いした。佐藤のあの顔芸だけで腹よじれて痛いのなんのってな」
佐藤は、どこか複雑そうに少しムッとした。
……佐藤が何かで落ち込んで辛くて泣いていたのに、笑ったのは失礼だったかもしれない。
笑ったことを後悔した。
だけど、あの時の表情が……俺を長く見ていた時の表情が面白くて可愛いと思ったのは本当だったので謝らなかった。
「そろそろ、行くか。お前も泣き止んだことだしな」
俺は車のキーを抜いてドアを開けると、助手席側に回った。
助手席のドアを開けると、佐藤が今度は再び困惑したような表情で俺を見上げる。
「おい、出ろ」
俺は、不意に佐藤に『降りたくない』と拒絶されたらという不安を感じてそれを隠すように命令口調で言ってしまう。
……どうして俺は、優しく言えないんだろうか。
佐藤は、訳が分からないというように困惑して、そして俺の“命令”におどおどする素ぶりを見せた。
……『降りたくない』と言われる前に、言う前にと思って、焦るなよ俺。
急に連れて来た俺が佐藤に偉そうに『降りろよ』なんて言うのはお門違いだ。
ああでも、……だけどっ!
得体の知れない焦燥感と不安に駆られていた。
「早く」