本日、結婚いたしましたが、偽装です。
「あの、ここ、どうして明るかったんですか?」
佐藤は、どうやら玄関の電気が入った時には点いていたことに不思議に思っているらしい。
「ん?ああまぁ、感知センサーが反応して、玄関開け閉めすると勝手につくようになってんだよ」
……電気が勝手につく玄関にどうして不思議に思っているんだ?
「って、んなことどうでもいいだろ」
マンションのくせに妙に長い廊下を歩きながら、妙なところに気付く佐藤にそう言った。
「そ、そうかもしれませんけど、自動で灯りがつく玄関なんて見たことなかったもので」
佐藤がそう気になった理由を言ってすぐにリビングに着いた。
佐藤はまた、その場に固まったように動かなくなると辺りを見回す。
それから、夜景が見える窓の方を真っ直ぐ見つめ始めた。
俺はこれからどうするかと急いで思考を動かして、まずは動きやすい服に着替えてこようと考えた。
「適当に座れよ」
佐藤にそう言ってから、リビングの隣にある寝室に入った。
ビジネスバッグをどさりと床に置いて、コートとジャケットを脱ぐ。
クローゼットを開けてそれらをハンガーにかける。
ふうっと短く吐息をついて、結び目に人差し指をかけてネクタイを緩める。
近くの引き出しから長袖の白Tシャツと黒のジョガーパンツを出す。
すると突然、急に全身が熱くなって言葉では表現出来ないほどの羞恥に襲われた。