本日、結婚いたしましたが、偽装です。
……ふおぉぉぉおっ!今、佐藤が俺の家にいる……!
ほんと今更だけど、確かに佐藤が俺の家にいる!
すぐ隣のリビングにいる!
しかも俺はその隣で着替えようとしている!
数時間前までは、昨日までは、全く考えていなかったし思ってもいなかったこの状況。
俺は、初めて異性が自分の家に来て興奮する中坊みたいに一人で身悶えていた。
真っ赤な顔でにやにやしているこの顔は、絶対に誰にも見せられない。
俺は口元を手で覆って、胸を突き破る勢いで暴れ狂う心臓を落ち着かせようと深呼吸をする。
それでも、鼓動は落ち着かない。
耳の奥の血管がばくばくと鳴っている。
同じ空間に佐藤がいるだけなのに、こんなにも恥ずかしくて乱れるのは俺が佐藤のことをそれだけ……。
ひた隠しにしている密かな気持ちが溢れ出さないように、なんとかフタをする。
……ダメだ、溢れ出させたら。
俺のこの気持ちが、佐藤にとって迷惑になるだけだと分かっていた。
そう、想っているだけでいいんだ。
この気持ちをどうにかしようとは、考えてはいけない。
想いを自覚してからはいつものようにそうして、冷静に考えて何度か深呼吸をし、気持ちを落ち着かせていた。
それでも今は、鼓動は落ち着きそうになかった。
それから普段着に着替えて、脱いだスーツをクローゼットに入れている時だった。
「ないないない!絶対にないから!」