本日、結婚いたしましたが、偽装です。



佐藤を堂々と支えることが出来るそんな立場の男になりたいと、これほど強く思ったのは初めてだった。


どうすることも出来ない俺は髪をかきあげると、目を閉じた。


……今は、そういうことを考えるのはよそう。


今、佐藤に出来ることを考えるんだ。


どうにかしたくて焦る気持ちを落ち着かせるように、深く吐息をつく。


目を開けると同時に口を開いた。


「分かった、それ以上は聞かない。けど、一つだけ聞く。もしかしてだが、一週間前から何も口にしてないなんてことはないだろうな?」


俺は、深く心配する。


どこか疲れた顔をして、一週間の間はずっと元気が無く心ここにあらずだったのはあまり栄養を摂取していないせいもあったんだろう。


仕事が出来ない状況だったのも、頷ける。


佐藤は、ここ一週間の間どういうものをどれだけ食べていたんだ?


もし体調が悪くて何も食べれないというのなら、どこか病気が隠れているのかもしれないから病院に行って然るべき検査を受けることも考えなければいけない。


それとも、体調は大丈夫かもしれないけれど何も食べたくないというのなら、そう思う“原因”をどうにかするしかないだろう。


俺は、このどちらかだろうと思い佐藤の返事を待つ。


佐藤は、視線を泳がせながら口を噤んでいた。

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