本日、結婚いたしましたが、偽装です。
……本当は、帰したくない。
突然家に連れて行ったのに『帰してください』と言われなかっただけでも充分だったのに。
今まで食欲がなかったのに作ったおじやを食べてくれて、美味しいと二度も満面な笑顔で言ってくれただけで満たされていたのに。
……まだ、佐藤と居たいと思ってしまう。
明日も仕事だと分かっている。
佐藤が疲れているのも、知っている。
だけど……っ。
……佐藤も、帰りたくないって思っていればいいのに。
諦めれない俺は、そんなことを望んでいた。
佐藤は、すぐに応えなかった。
何かハッとした顔をして、次は悩むような顔をしてすぐに何も言わなかった。
それが、更に俺を期待させた。
『良かったらまだ、一緒に居てくれないか?』
俺がそんなことを言い出しそうになった時だった。
「…はい。帰ります」
佐藤が、俺を諦めさせるようにはっきりと言った。