甘い魔法にかけられて
強い閃光と地鳴りのような雷に
化け物とでも遭遇したかのような

ブサイクな叫び声を上げてしまった

もちろん驚いたKYは
ハザードを付けて車を止めた

「柚ちゃん・・・」

「だ、大丈夫ですから・・・気にしないで」

オデコから嫌な汗が噴き出す

ガタガタ震えながら
小動物の様に小さくなって
ぎゅっと目を閉じていると

「もう少しだけ頑張って」

優しい声と大きな手がポンポンと頭を撫でた

それは・・・いつもより
低くて柔らかい
不思議に落ち着く声だった

コクンと頷くと車が動き始めた

県道に差し掛かると
怪しいネオンの灯るお城のような建物が目に入る

・・・こんなのあったっけ?

不思議と外の景色を見ていることに驚く

「全然車走ってないな~やっぱ天気かなぁ・・・ん?あれ?どうした?柚ちゃんあれ」


県道を塞ぐように横付けされた2台のパトカーと
赤色誘導灯を振るお巡りさん2人が見えた
< 31 / 90 >

この作品をシェア

pagetop