私の恋愛事情。〜アノ人と巡り会うまでは〜
「……好きだよ、咲桜」

「俺が好きになったのは、“幼馴染”なんかじゃない。
 泣いて、笑って、それでも前向いて生きてく咲桜だよ」

心臓が、痛いくらい鳴ってた。

(あぁ、もう…だめだ。私……)

ゆっくりと、凌の方を向いた。

「凌、本当にありがとう。でも……私、玲斗が好き」

「……そっか」

凌は、少しだけ笑って、目を伏せた。

「じゃあ、あとはちゃんと…幸せになれよ」

そう言って去っていく背中は、少しだけ大人びて見えた。

**

そして私の手を握る玲斗の手は、これまでで一番、あたたかかった。
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