酔ったら、



呆れられてしまったと思い、かなり落ち込む。

今日は、私の醜態を忘れて欲しかっただけなのに、こんなに落ち込むことになるとは、思ってもいなかった。

お断りするつもりは、正直無かったんだけどな。

ただの我が儘で、ただの天の邪鬼だ、私。

面倒臭い私に付き合ってもらっていることが、もはや申し訳なく思う。

そうして居ると、先輩が「おいおい」と声を掛けてくる。

ますます暗くなる私を切り替えさせる様に。

私が顔を上げると、先輩は心配そうな表情で、こちらを見ていた。



「来栖を困らせてると思うと、辛くなってきたな」

「あ……」



私が言葉を詰まらせてしまうと、先輩は相変わらず困った表情のままで、少しだけ笑った。



「簡単な話。来栖が嫌だと思うなら嫌。それだけの話だ」



応え方の答をそこまで、教えてもらったら、ようやく頭がスッキリした気がする。



「嫌じゃ、ないです」



何だかデジャヴを感じる自分の言葉だったが、そんなことには一切、構わない。

しかし、先輩も同じことを考えていたようで「それ、忘年会のときも言ってなかったか?」と呆れた様に笑う。

私があのとき言っていたことも、しっかりと覚えてくれている。

今日の熱意を感じる視線と言い、先輩の気持ちは、本当に本当だったのか、と今更ながら思い知らされた。

控えめな自分の気持ちを噛み締めていると、先輩が優しい口調で言った。



「それは……今度こそ、告白の良い返事をもらえてるって、思っていいの?」

「は、はい」

「もっと、はっきり言ってもらいたいけど……それは、俺の今後の努力次第?」

「そんな、努力なんて──」



私の咄嗟の台詞に、先輩がニヤついている。

思わず、余計なことを言ってしまった、己の口元を覆う。
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