クールな公爵様のゆゆしき恋情2
孤児院に到着し馬車を降りた私は、いつもと違う様子を感じ取り首を傾げた。

いつもは出迎えてくれる幼い子供達が、今日は一人としていないのだ。

それに、表向きは私を公爵夫人として丁重に扱ってくれる院長が姿も見せない。
こんな事は始めてだ。

不審に思いながら辺りを見回していると、護衛騎士の隊長が部下を連れて孤児院の様子を見に行く。

隊長を見送りながら、私は不意に込み上げて来た嫌な予感に落ち着かない気分になった。

リンブルグにずっと同行していたアンナも、同じようで、キョロキョロと視線を巡らしている。

きっと楽しそうに笑う子供の姿とか、シスターに叱られる男の子の姿とか、平和な日常を見つけたいのだ。

ヘルミーネ様だけが異変を感じないようで、明らかに面倒そうな風情でそっぽを向いている。

しばらくすると護衛隊長が戻って来た。

「奥様、孤児院内にはシスターが二人居ただけです。事情を聞いたところ院長も子供達も皆鉱山に向かったとのことです」

「どうして? この時間の子供の労働はなくなったはずでしょう?」

声を高くする私に、隊長は困惑した様子で報告してくる。

「緊急事態が発生したとのことです。朝食も取らずに慌てて出ていったとか」

「そんなに前に?……分ったわ。とにかく私達も鉱山に向かいましょう」

一体何が起こっているのだろう。

行き先を変更したことで、ヘルミーネ様が不満を口にする。

それも気にならない程、嫌な予感は続いていた。
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