クールな公爵様のゆゆしき恋情2
「この先で御座います」

自らランプを手にしたハルトマン院長が側胴の先を指差す。

その隣には護衛役としてイザークの姿がある。

彼は私に気付いていないはずはないけれど、院長を気にしているのか目もあわせない。無表情で護衛の仕事に徹している。

ランプの明かりが届かない先は真っ暗で何も見えない。物音もしないし、大きな問題が起きているようには感じないのだけれど。

「何があるのですか?」

ヘルミーネ様が先を見通すように目を細める。

「こちらに」

ハルトマン院長は答えずに、先を促す。

今までより強引なその態度に、少しの違和感が湧いて来る。

それはヘルミーネ様も同じだったのか、私に視線を向けて言う。

「ラウラ様、護衛の姿が見えませんが」
「ええ、遅れているみたいだわ」

不安定な階段は重力が限界を超えないように、順番に降りなくてはならなかった。
それでも先ほどまでは近くに付いていたはずなのに、気付けば姿が見えなくなってた。

「やはりラウラ様はお戻りになられては?」

「……いいえ、ここ迄来たのだから私も行きます」

若干の不安は有るけれど、ここまで来たのだから今更帰れない。

ハルトマン院長は油断できない人物のようだけれど、ヘルミーネ様が一緒に居る今無茶は出来ないはず。

そのヘルミーネ様は私を嫌っているけれど、直接的な危害を加えて来るほど愚かでは無い。

急ぎ足で進むハルトマン院長に付いて暗い坑道を進む。

すると思いったよりも早く行き止まりに到着した。

そこは地下とは思えない程広い空間で、木で出来た簡素な小屋のようなものまで建てられている。
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