クールな公爵様のゆゆしき恋情2
「とにかく一刻も早くここから出なくては。アレクセイ様はこの事を知らずに合意書を交わそうとしています。それより先に事実を報告しないといけません。輸送手段についてはそれから調べればいいでしょう」

「……そうね」

でも、どうやって出ればいいのだろう。
イザークでも扉を壊すのは無理だといっていたし。

「お前、何とかして扉を壊しなさい」

ヘルミーネ様がイザークに命令する。

「確認したけど扉を開けるのは無理そうよ」

代わりに私が答えると、ヘルミーネ様は眉をひそめる。

「扉が駄目なら屋根からでも脱出しなさい。外に出れば採掘用の火薬も有ります。扉を破壊するのは容易いでしょう」

どこまでも居丈高に言うヘルミーネ様に、イザークは嘲笑して答えた。

「俺は貴方の部下では有りませんが」

その言葉にヘルミーネ様が顔色を変える。

「お前もロイセン側の人間だというの?」

「まさか、俺はこのリンブルグ育ちですよ。でも子供達の必死の訴えを無視するような人間を俺は主とは認めない」

ヘルミーネ様は驚愕したようにイザークを見つめる。しばらくしてからそれまでより抑えた口調で言った。

「孤児たちの訴えはこのリンブルグ以外の孤児院でも上がっています。全てに対応することなんて出来ない」

「確かにそうだろうけど、貴方は気にも留めなかった。出来ないんじゃなくて、する気がなかったんだろう?」

イザークの言葉は図星だったのか、ヘルミーネ様が口を閉ざす。

それを横目にイザークは私に向かい何かを言いかけようとしたけれど、それより早く複数の足音が耳に届きピタリと動きを止めた。

足音はこの建物に真っ直ぐ近付いて来る。
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