クールな公爵様のゆゆしき恋情２
アレクセイ様と会話をしている間にも馬車は進み、リードルフの街に到着した。

街の外門を抜け、ヒルト男爵の暮らす館へと向かう。

車窓から見える風景は、私が今まで見たどの風景とも違っていた。

遠く街を囲う山肌は茶色く、麓からは幾筋もの煙が上がっているのが見える。
その山に向かって幅の広い道が真っ直ぐ伸びており、ところどころで細い側道と交差している。

立ち並ぶ家々はくすんだ茶色のレンガ造りで、大きさと概観には統一性があった。

「アレクセイ様、この街にはお店はないのですか？」

先ほどから進んでいる通りはこの街の主道路だと思われるのに、通常の街にあるような商店が全く見あたらなくて不思議だった。

「この道は採掘、精製した鉱物を運ぶ為に頻繁に大型馬車が行き交う。買い物客が居たら通行の邪魔になるから、それを避ける為、商店は別の一角に集められている」

「そうなんですか……この街は全て採掘の都合に合わせて作ってあるのですね」

感心しながら再び外の景色に目を向ける。
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