クールな公爵様のゆゆしき恋情2
珍しい街並みに目を奪われている内に、ヒルト家の館に到着した。

薄茶色の壁に薄墨色の屋根の館は、街の喧騒から逃れるように、外門からかなり離れた奥地にあった。

アレクセイ様にエスコートされ馬車から降りると、出迎えに来ていた人々が一斉に頭を下げるのが見えた。

中央には恰幅の良い年嵩の男性が立ち、その隣には私より少し年上に見える女性がいる。恐らく彼らがヒルト男爵家の人々だ。

そう予想した通り、誰より早く近付いて来た男性はアレクセイ様の前に立ち止まり、深々と頭を下げ、出迎えの挨拶をした。

アレクセイ様が鷹揚に頷くと、ヒルト男爵は今度は私に挨拶を述べ、それが終わると背後に控える女性の紹介をした。

「公爵夫人、こちらは娘でございます。お見知りおきくださいませ」

ヘルミーネ様は黒髪黒瞳の、目鼻立ちのはっきりとした美しい人。少しつりあがった目が強気な印象だ。

「ラウラ様、ヒルト男爵の長女、ヘルミーネと申します。この度はご来訪頂きまことにありがとうございます」

「ええ、こちらこそよろしくお願い致します」

笑顔を作り答えると、ヘルミーネ様は隣に立つアレクセイ様に視線を向け、私に向けたものより気安い口調で言った。

「アレクセイ様、お久しぶりぶりです」

「久しぶりだな。変わりはないか?」

アレクセイ様も、慣れ親しんだ様子で応える。
ふたりは、面識があることが察せられた。

「概ね変わりありませんわ。さあ、お入りになって、歓迎の用意が整っておりますわ」

ヘルミーネ様の態度は父親のヒルト男爵よりも堂々と自信に満ち溢れて見える。まるで彼女こそがこの家の主のよう。
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