クールな公爵様のゆゆしき恋情２
「逆らえば、ひかき棒で殴られたり、寒い中外に出されて食事抜きにされる。それが怖くてみんなあいつの言いなりだ。逆らうのは俺達みたいに孤児院に入ってから長くないやつだけだと思う」

「ルカはリンブルグに来たばかりなの？」

「うん。俺とエミリは、去年採掘場の事故で両親を亡くして来たから」

「採掘場の事故？ そう……」

何ともいえない気持ちで相槌を打つと、ルカは身を乗り出すようにして声を高くした。

「お願いだよ！院長に俺達の仕事をもっと少なくしてくれるように命令して！　そうでないと俺達はいつか死んでしまう……エミリも明日から鉱山に行けって言われたんだ。エミリは昔から身体が弱いんだ。鉱山の仕事なんて三日だって耐えられないよ」

ルカは少し震えた声で言う。
多分、妹のエミリのことを思い不安に襲われているのだろう。

ルカの一番の目的は自分の仕事を減らしたいのではなく、エミリを過酷な労働から救うことなんだ。

だからこんな小さな子が、妹を守る為に危険も顧みず飛び込んで来た。

そうしなくてはならない程、追い詰められていた。
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