クールな公爵様のゆゆしき恋情2
「事情は分かったわ。少しだけ待っていて。あなた達が安心して暮らせるようにするよう手を尽くすから」
私の言葉に、ルカが顔を輝かせた。
「本当に?」
「ええ。私が今すぐ院長のところに言って命令することは出来ないけど、領主館に戻ったら直ぐにアレクセイ様……フェルザー公爵に話をするわ」
安心させるようにルカの目をしっかり見ていう。
けれど、彼はたちまち表情を暗くして俯いてしまった。
「ルカ?」
「フェルザー公爵は俺達を助けてくれないよ」
思いがけない言葉に、私は目を見開く。
「どうして?」
「少し前に、ヒルト家のお嬢様が俺達の働く鉱山に来たことがあるんだ。その時にも今みたいになんとかしてくれってみんなで訴えたんだけど、今はフェルザー公爵を迎える準備が忙しくて無理だって相手にして貰えなかった。きっとフェルザー公爵は孤児なんてどうでもいい冷たい領主様なんだよ」
「待って、それは違うわ」
唖然としてルカの言葉を聞いていた私は、たまりかねて彼の話しを遮った。
「誤解しているわ。フェルザー公爵は冷くなんてない、優しい方よ。でもとても忙しい方だから、ヘルミーネ様は気を遣ってそう言ったんだと思うわ」
「フェルザー公爵様が優しいのは相手がお姫様だからだ。孤児に優しい訳がないよ」
「そんな事ないわ。大丈夫、アレクセイ様ならきっと何とかしてくれるから。だからルカはとう危ない事は止めて、孤児院に戻っていつも通りにして待っていて」
「本当か?」
ルカは信用しきれないのか、疑いの眼差しを向けて来る。
私は迷うことなく堂々と頷く。
この時は、本当にアレクセイ様が彼等の力になってくれると疑っていなかったから。