クールな公爵様のゆゆしき恋情2
「公爵夫人、こちらが地下への入り口になります。深い縦抗から水平に横坑が伸びている為、中はとても広く慣れてない者には迷路のように感じるかもしれません。換気装置はありますが完全では有りませんので空気が悪いところも御座いまして危険です。くれぐれもおひとりでは立入らないようにお願い申し上げます」

採掘場の責任者は案内が始まると、まずは勝手にウロウロしないようにとの内容を控えめに丁重に告げて来た。

「分りました。中を見たいときは必ずあなたに声をかけます」

私は責任者を安心させる為、無理はしないと約束する。

すると、責任者はほっとしたように笑顔を浮かべた。

「有難う御座います。公爵閣下から公爵夫人は時々思いがけない行動をされる為、鉱山の危険をよく伝えるようにと厳しく命じられておりましたが、早々にご理解頂けたようで安心致しました」

「……そうですか、夫は心配症ですから慎重になっているのでしょう」

私はそんなに奇抜な行動はしないけど。
顔が引き攣らないようにしながら、穏やかに答える。

それにしてもアレクセイ様は私のことを、誤解している部分がある気がする。

私はちゃんと公爵夫人としての立場を弁えてるのに、何を気にしているんだろう。
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