クールな公爵様のゆゆしき恋情2
階段は深く続いていた。
入り口から入る光は頼りなくなっていたけど、あちこちに人工的な灯りが灯っているから坑道は予想していたより、明るかった。
いくつもある内の一つの横坑に進む。かなり広い道になっていて中央をトロッコが通る為の枕木が敷かれている。
「これで鉱石を運ぶのですか?」
「はい。これで入り口に続く縦坑まで運び、そこから昇降機を使って地上に引き上げます」
「ああ、階段からロープが見えました。あれで地上に巻き上げるのですね」
「その通りです」
真面目に説明を受けながら黄色い灯りの点る道を進む。
しばらく進むと行き止まりに着いた。
「こちらが採掘現場です。このような場所が鉱山内にいくつもあります」
私は責任者の説明に頷きながら壁の前で発掘を進める鉱夫達の作業を見つめていた。
屈強な男性達が、ハンマーや私の見た事もない器具を使って固そうな壁を掘っている。
「大変な仕事ですね」
「はい、ここは特に力もいるところですし、ある程度の経験も必要です」
「……子供は働いていないのですか?」
私の問いに、責任者は少し驚いた様に眉を上げた。
「子供が発掘することは有りません。手伝うとしても地上での荷物運びや、精製施設での雑用程度ですよ。逆に言えば子供の体力ではその程度しか出来ませんから」
「そうなんですね」
一通り地下での作業を見届けると、責任者達に促され地上に戻った。
それからは選鉱施設と精製施設の見学をする。
選坑施設は、地下で彫った鉱物を確認して使えるものと使えないものに分ける場所。
精製施設は選鉱したものを、加工するところ。
どちらも大量の水を使うとかで、近くに流れる河から水を引いているとのことだ。
水源としても、輸送手段としても、リードルフ西側の河は重要らしい。