クールな公爵様のゆゆしき恋情2
「あの河ね」
西方に目を向ければ、幅広の川が視界に入る。
川はフェルザー城の湖のような透明感はなく、少しくすんだ色をしている。
川面には何隻か船が浮かんでいる。流れはそれ程早くなさそう。
大きな川だからここからでも様子が見えるけど、実際歩いたらかなりの距離がありそうだ。
そんなことを考えながら眺めていてしばらくした時、それまで私に付きっ切りだった採掘場責任者とその部下達の姿が無いことに気が付いた。
どこに行ったのだろう。
「他の人達はどこに行ったか知っている?」
私に付き従っているフェルザー家の護衛騎士に声をかけると、ひとりが、精製施設の方を示した。
「あちらに行かれましたが」
「そう」
そろそろ見学の続きをお願いしたい。そう思って彼等の方に向かった私は、「フェルザー公爵にも困ったものです」建物の影から聞こえて来た言葉に、反射的に歩みを止めた。
この声は、責任者の声?
アレクセイ様が困ったって、どういう事?
戸惑っている内にも、会話が続いて行く。
「あんな鉱山とは無縁そうな姫を連れて来るなんて、どういうつもりなんでしょう」
「まったく、地下に降りたいと言われたときはどうしようかと思いましたよ」
……もしかして、私のことを話している?
しかもあまり良く無い雰囲気だ。ますます出て行きづらくなってしまった。
「勿論、公爵夫人に逆らうことなど出来ませんからお連れしましたが、いつ機嫌を悪くされるかとハラハラしました」
「採掘場など貴族の姫君が立入るところでは有りませんからね。一番安全な所に案内しましたが、予想外に感心を持たれたようでなかなか立去ろうとせず、困ってしまいました。姫君に小さな傷ひとつつけただけでも公爵閣下の逆鱗に触れるでしょうからね」
「本当に……恐ろしい」
西方に目を向ければ、幅広の川が視界に入る。
川はフェルザー城の湖のような透明感はなく、少しくすんだ色をしている。
川面には何隻か船が浮かんでいる。流れはそれ程早くなさそう。
大きな川だからここからでも様子が見えるけど、実際歩いたらかなりの距離がありそうだ。
そんなことを考えながら眺めていてしばらくした時、それまで私に付きっ切りだった採掘場責任者とその部下達の姿が無いことに気が付いた。
どこに行ったのだろう。
「他の人達はどこに行ったか知っている?」
私に付き従っているフェルザー家の護衛騎士に声をかけると、ひとりが、精製施設の方を示した。
「あちらに行かれましたが」
「そう」
そろそろ見学の続きをお願いしたい。そう思って彼等の方に向かった私は、「フェルザー公爵にも困ったものです」建物の影から聞こえて来た言葉に、反射的に歩みを止めた。
この声は、責任者の声?
アレクセイ様が困ったって、どういう事?
戸惑っている内にも、会話が続いて行く。
「あんな鉱山とは無縁そうな姫を連れて来るなんて、どういうつもりなんでしょう」
「まったく、地下に降りたいと言われたときはどうしようかと思いましたよ」
……もしかして、私のことを話している?
しかもあまり良く無い雰囲気だ。ますます出て行きづらくなってしまった。
「勿論、公爵夫人に逆らうことなど出来ませんからお連れしましたが、いつ機嫌を悪くされるかとハラハラしました」
「採掘場など貴族の姫君が立入るところでは有りませんからね。一番安全な所に案内しましたが、予想外に感心を持たれたようでなかなか立去ろうとせず、困ってしまいました。姫君に小さな傷ひとつつけただけでも公爵閣下の逆鱗に触れるでしょうからね」
「本当に……恐ろしい」