クールな公爵様のゆゆしき恋情2
しばらくすると、責任者達がやってきた。

「公爵夫人、こちらにおいででしたか」

「ええ……」

浮かない気持ちで答える私に、責任者達はニコニコとした笑顔を浮かべて近付いて来る。

「本日は公爵夫人のような尊い身分のお方をお迎え出来、大変光栄で御座います。鉱夫達の士気も上がったことでしょう」

機嫌を取ろうとしているのか、責任者達はやけに私を持ち上げることを言う。

だけど、本音を聞いてしまった今、全く心に響かない。

半ば聞き流していると、用事が終ったのかアレクセイ様が戻って来た。

アレクセイ様は、私の居所を直ぐに見つけ近付いて来る。

「ラウラ?」

いつも通りの優しい微笑み。
だけど、私の元気が無い事に敏感に気付いたようで、顔をしかめた。

「何か有ったのか?」

ぐるりと辺りに、剣呑な視線を巡らすアレクセイ様。

それを受けた責任者達が慌てるのが見え、私は慌てて笑顔を浮かべた。

「アレクセイ様、何でもありませんよ。地下まで案内して貰ったのですが、沢山歩いたせいか少し疲れてしまったのです」

「地下まで?……そうか。ラウラは好奇心旺盛だな。恐くなかったのか?」

「はい。鉱山の内部に入るのは初めてですから、良い経験になりました」

「そうか」

アレクセイ様は他の皆のように、私があれこれ見学するのを好ましくないとは思っていないようだ。

機嫌良さ気に、「妻が世話になったな」と皆を労っている。

皆もほっとしたような笑顔に。
少し離れたところに佇んでいたヘルミーネ様だけが険しい顔のままだった。
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