クールな公爵様のゆゆしき恋情2
半日がかりの視察が終了した。

責任者達の見送りを受けながら馬車に乗り込もうとした時、山々の間に夕日が沈んでいくのが見えた。

リードルフの夕日は、とても大きく見える。
橙色に辺りが染まっていく様は、圧巻だ。

つい見とれていると、くすりと笑ったアレクセイ様に手を引かれた。

「ラウラはいろいろなものに興味が有るんだな……出来ればゆっくり見せてやりたいがこの後も予定がある。また今度見にこよう」

アレクセイ様の言う通り、今夜はリードルフ近隣を治めるフェルザー家の代官たちがヒルト家に集まる。

アレクセイ様に挨拶をするのと、近隣での交流を深める為だ。

私も参加するように言われているから、アレクセイ様の言う通り早く戻って支度をしなくてはならない。

私とアレクセイ様が馬車に乗り込むと、続いてヘルミーネ様も乗ってくる。

行きと同じ光景だけれど、私の気持ちは大分変わってしまっていた。

ヘルミーネ様が恐ろしい。

あからさまに敵意を向けられるわけでも攻撃される訳ではないのに、なぜかともて恐いのだ。

自分の足元が、危なげに揺らいでしまうような感覚。

「ラウラどうした?」

アレクセイ様が声をかけて来る。

心配そうな顔。訴えたいことはいろいろあるけれど、ヘルミーネ様がいるこの場では無理だ。

「大丈夫です。さっきも言った通り、少し疲れただけだから」

そういい、窓の外に目を向ける。

アレクセイ様は納得していない様だけれど、ヘルミーネ様が同乗しているからか、それ以上追求して来る事は無かった。

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