強引ドクターの蜜恋処方箋
目を開けて振り返ると、白衣を着て首から聴診器をかけた雄馬さんが立っていた。
彼の美しい立ち姿に周りの空気が一瞬で変わる。
看護師達が嬉しそうに顔を見合わせていた。
こんな場所でこんなすごい親子が顔をつきあわせてる状況はあまりないということもある。
改めて2人を並べて見てみると、教授と雄馬さんの目元はそっくりだった。
雄馬さんは私の方を見て笑顔で頭を軽く下げた。
私も慌てて会釈をする。
ユウヒがすかさず、
「今、チナツさん見て笑ってましたよね」
と私の袖を引っ張った。
雄馬さんは教授のそばに寄って行った。
「昨晩倒れて入院してたんだって?大丈夫か?」
教授は無表情のまま「ああ、もう大丈夫だ」と言った。
「雄馬、悪いが私は今南川さんに話があってここに来てるんだ、ちょっと開けてくれないか」
「南川?」
雄馬さんは驚いた顔で私の方を見た。
教授は雄馬さんの前を通り過ぎ、ゆっくりと車いすで私の方に近づいてきた。
そして、私の前に右手を差し出した。
「本当にありがとう。あなたがいなければ私は昨晩どうなっていたかわからない。このお礼はまたゆっくりさせてもらいたい」
「いえ、そんな・・・」
緊張しながらも、教授の右手を両手でしっかりと握り返した。
私の手は震えていた。
恐いからとかじゃなくて、純粋に感動していた。
こんなにも近くに私達の結婚を反対しているお父さんが「ありがとう」と言って私の手を握っていることに。
雄馬さんの白衣が私の肩に擦れる。
私の横に並んだ雄馬さんの目は緊張からか、いつもより鋭く見えた。
「俺がずっと話していたのが、今、親父が手を握っている南川チナツさんだ」
私達を囲んでいた看護師達が雄馬さんの口から私の名前が出た事にざわついた。
教授はゆっくりと雄馬さんの顔を見上げた。
「親父が何と言おうと俺はチナツと結婚する。俺のかけがえのない最愛の女性だよ」
しばらく雄馬さんの目を見つめて何か考えている表情の教授は再び私の方に顔を向けた。
そして、穏やかに微笑むと、
「君が、雄馬が何度も話していた南川チナツさんだったんだね」
と言って優しく微笑んだ。教授は握っていた手に力を込めた。
「今度、お礼も兼ねて雄馬も一緒に3人で食事に行ってもらえないだろうか」
「・・・親父?」
雄馬さんは教授の横顔を食い入るように見つめた。
「雄馬もなかなかやるじゃないか。こんな素晴らしい女性を射止めるなんて」
教授は、雄馬さんにそう言うと嬉しそうに笑った。
「これからも雄馬をよろしく頼むよ」
私の両手から教授の手がゆっくりと離れた。
その手は雄馬さんと同じとても温かくて大きな手。
私は今何が起こっているのかわからないくらい頭の中がパニックだった。
松井教授は、私に何て言ったの?
これからも雄馬をよろしくって??
それって・・・。
さっきまで松井教授と繋がっていた両手を胸元でぎゅっと握り締めた。
そして呆気にとられてる看護師達の前を教授は右手を挙げて通り過ぎ、エレベーターに乗る。
教授の笑顔を乗せたままエレベーターの扉がゆっくりと閉まっていった。
私はエレベーターが閉まる直前、慌てて頭を下げた。
彼の美しい立ち姿に周りの空気が一瞬で変わる。
看護師達が嬉しそうに顔を見合わせていた。
こんな場所でこんなすごい親子が顔をつきあわせてる状況はあまりないということもある。
改めて2人を並べて見てみると、教授と雄馬さんの目元はそっくりだった。
雄馬さんは私の方を見て笑顔で頭を軽く下げた。
私も慌てて会釈をする。
ユウヒがすかさず、
「今、チナツさん見て笑ってましたよね」
と私の袖を引っ張った。
雄馬さんは教授のそばに寄って行った。
「昨晩倒れて入院してたんだって?大丈夫か?」
教授は無表情のまま「ああ、もう大丈夫だ」と言った。
「雄馬、悪いが私は今南川さんに話があってここに来てるんだ、ちょっと開けてくれないか」
「南川?」
雄馬さんは驚いた顔で私の方を見た。
教授は雄馬さんの前を通り過ぎ、ゆっくりと車いすで私の方に近づいてきた。
そして、私の前に右手を差し出した。
「本当にありがとう。あなたがいなければ私は昨晩どうなっていたかわからない。このお礼はまたゆっくりさせてもらいたい」
「いえ、そんな・・・」
緊張しながらも、教授の右手を両手でしっかりと握り返した。
私の手は震えていた。
恐いからとかじゃなくて、純粋に感動していた。
こんなにも近くに私達の結婚を反対しているお父さんが「ありがとう」と言って私の手を握っていることに。
雄馬さんの白衣が私の肩に擦れる。
私の横に並んだ雄馬さんの目は緊張からか、いつもより鋭く見えた。
「俺がずっと話していたのが、今、親父が手を握っている南川チナツさんだ」
私達を囲んでいた看護師達が雄馬さんの口から私の名前が出た事にざわついた。
教授はゆっくりと雄馬さんの顔を見上げた。
「親父が何と言おうと俺はチナツと結婚する。俺のかけがえのない最愛の女性だよ」
しばらく雄馬さんの目を見つめて何か考えている表情の教授は再び私の方に顔を向けた。
そして、穏やかに微笑むと、
「君が、雄馬が何度も話していた南川チナツさんだったんだね」
と言って優しく微笑んだ。教授は握っていた手に力を込めた。
「今度、お礼も兼ねて雄馬も一緒に3人で食事に行ってもらえないだろうか」
「・・・親父?」
雄馬さんは教授の横顔を食い入るように見つめた。
「雄馬もなかなかやるじゃないか。こんな素晴らしい女性を射止めるなんて」
教授は、雄馬さんにそう言うと嬉しそうに笑った。
「これからも雄馬をよろしく頼むよ」
私の両手から教授の手がゆっくりと離れた。
その手は雄馬さんと同じとても温かくて大きな手。
私は今何が起こっているのかわからないくらい頭の中がパニックだった。
松井教授は、私に何て言ったの?
これからも雄馬をよろしくって??
それって・・・。
さっきまで松井教授と繋がっていた両手を胸元でぎゅっと握り締めた。
そして呆気にとられてる看護師達の前を教授は右手を挙げて通り過ぎ、エレベーターに乗る。
教授の笑顔を乗せたままエレベーターの扉がゆっくりと閉まっていった。
私はエレベーターが閉まる直前、慌てて頭を下げた。