紅の葬送曲


翔鷹の本部の執務室に戻ると、そこには小鳥遊さんがいた。





彼女は出動せず、寿永隊長が持ち込んだ金庫番をしていたのだ。





いくら翔鷹本部と言えど、黒いノートのコピーが入れられた金庫を放置しておけない。




だから、交代で金庫番をすることになったんだけど……。





「な、にしてんですか、小鳥遊さん……?」





私は目の前の小鳥遊さんの行動に目を見張る。





残った小鳥遊さんは金庫番をしているはずだった。





それなのに、小鳥遊さんはその金庫を破壊し、中身である黒いノートのコピーを手に取っていた。




「何ってちゃんと中身があるか確認を……」





「なら、壊さなくても……」




目の前の小鳥遊さんは目が泳いでいて、いつもの彼女とは思えない。




ふと、私の脇を四つの影が走り抜けた。





その影の正体は小鳥遊君と帰ったはずの矢賀さん、神原さん、楠さんで、四人がかりで小鳥遊さんを床に拘束していた。





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