紅の葬送曲
「何で私が翔鷹に……?」
中の書類には私が本日付けで翔鷹に異動になる辞令が書かれていた。
混乱する頭で寿永隊長を見ると、彼は小鳥遊君とは別に控えていた女の人から別の書類を受け取って目を落とした。
「君が翔鷹に入るための基準を満たしているからだよ」
「でも、急過ぎじゃ──」
「これは隊長である俺と警視総監の決定だ。君に拒否権はないし、周りからの異論も認めない」
彼はチラリと周りにいる警官達を見た。
周りにいる警官達の視線は私と彼へ向けられている。
向けられる視線は好奇心や好意、妬みや羨望と様々だ。
でも、その視線でさえも逸らせてしまう程彼の視線は威圧感があった。