紅の葬送曲


その日の午後。




私は寿永隊長と紅斗と共に、拘置所にいる小鳥遊さんに変装していた女の元に行った。




「アンジェロ……」





紅斗が呼ぶと、拘置所のベッドの上で膝を抱えていた彼女は顔を上げた。




日本人とは思えない白い肌と見事な金髪の彼女は此処に来た頃より少し痩せていた。





「紅斗様……、その格好は……」




彼女──アンジェロさんは翔鷹の制服を来た紅斗の姿に驚きを隠せていなかった。





「アンジェロ・アッヘンヴェル……だな」





寿永隊長が彼女のフルネームを呼ぶと、アンジェロさんはこくりと頷く。





アンジェロさんは父親がドイツ人、母親がイギリス人のハーフで、三つ子の三姉妹の末っ子として生まれた29歳。




20年前は齢9歳にして三つ子の姉達と共に両親を殺害、≪三つ子の悪魔≫として切碕の傍にいた。




名前は天使という意味で容姿も天使みたいに綺麗だから殺人者とは思えなかった。





今も傷心気味だからなのか全然殺気を感じない。







< 342 / 541 >

この作品をシェア

pagetop