また君に恋をする


馴れ馴れしく呼び捨てで呼んでくる奴は、春翔に殴られて顔面の原型をとどめていない。


そんな状態で俺に喧嘩を売る。




「てめえ!」


「春翔、」




俺や喜連を馬鹿にするこいつを許せないんだろう。


春翔は真っ直ぐすぎる。


すぐにカッとなる春翔を俺は止めた。



こんなやつ、殴る価値もない。


相手にするだけ無駄だ。



俺は何も言わずまた前を向いて歩き出そうとしたが、奴は俺の隣にいる桃を見て笑った。



一瞬だけど俺はそれを見逃さない。


桃の体がビクッと反応したことも。


泣きそうなのにグッと堪えている目も。




「俺、お前の女と何したと思う?」




ちゃんと喋れていない男に殺意が芽生えて、俺もそろそろ限界がきていた。

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