また君に恋をする


今度こそ帰ろうと足を進めようとした時、後ろで微かな音が聞こえた。



しつけーやつだな。


俺はそいつの首に回し蹴りをして、階段を降りた。



あいつ、今ので首の骨折れただろうな。


なんて考えながら。



1階へ降りると、もう喜連のやつらは誰もいなかった。


そりゃそうか。


もう1時間くらいは経っている。



だが、入り口に桃と春翔の姿が見えた。




「奏多!」




外の光に照らされる桃の影が少しずつ、俺に近づく。


距離が1ミリも無くなった頃には、春翔の前だと言うことも忘れて桃を抱きしめていた。


少し背伸びをして俺に手を回す桃は、何も言わない。


そんな桃の肩に顔を埋めて、俺は強く抱きしめ返した。




「ごめん…、ごめんね。」


「無事でよかった。」

< 105 / 289 >

この作品をシェア

pagetop