また君に恋をする
今度こそ帰ろうと足を進めようとした時、後ろで微かな音が聞こえた。
しつけーやつだな。
俺はそいつの首に回し蹴りをして、階段を降りた。
あいつ、今ので首の骨折れただろうな。
なんて考えながら。
1階へ降りると、もう喜連のやつらは誰もいなかった。
そりゃそうか。
もう1時間くらいは経っている。
だが、入り口に桃と春翔の姿が見えた。
「奏多!」
外の光に照らされる桃の影が少しずつ、俺に近づく。
距離が1ミリも無くなった頃には、春翔の前だと言うことも忘れて桃を抱きしめていた。
少し背伸びをして俺に手を回す桃は、何も言わない。
そんな桃の肩に顔を埋めて、俺は強く抱きしめ返した。
「ごめん…、ごめんね。」
「無事でよかった。」