また君に恋をする
なんなの…。
かけるなら早くかけてよ。
「え…?」
突然な沈黙を作ったトイレに響いたのは、情けない声。
そのあと、ギィっと音をたてて開いたドア。
中で膝を抱えて座っていた私は、その音と同時に顔を上げた。
「…遅れてごめん。」
「奏多くん…、?」
目が腫れていてハッキリ見えないけど、声と髪色でわかる。
意識が朦朧としていた私は、近くの壁に体を預けた。
助けに来てくれたのは、奏多君だよね…。
嬉しいけど、こんな姿見せたくなかった…。
「あ、あの…、これは…。」
「誰のもんかわかっててこうしたのか。」
「ぇ…、」
「俺の女に指一本触れんな。」
女…?
私は奏多くんの彼女じゃない。
この場の嘘かもしれないけど、そんな嘘ついちゃダメだよ…。