また君に恋をする
好きな人がいるって言ってたじゃん…。
“ 私、彼女じゃない!”
あれ…、まただ…。
“ 俺のこと好きなんじゃねーの。”
“ 好きだよ!”
“ じゃあ彼女になればいいじゃん。”
駄目だ…、思い出せない。
「帰ろう。」
「ん…、」
腕を掴んで立たせてくれた奏多くんは、おぼつかない足で歩く私を背負ってくれた。
「重いからいい」って言いたいのに、体と思いは一致せず、彼の背中に体を預けた。
ずっと、この時間が続けばいいのに…。
「桃。」
「ん…、」
「次からは辛かったら言えよ。」
「…ん。」
「絶対守ってやるから。」
前を向いている彼の顔は見えない。
だけど多分、少し不機嫌だと思う。
私はそんな不機嫌さに小さく返事をして、彼の肩に顔を埋めた。
彼はいつも辛い時は必ず助けてくれる。
泣く場所を作ってくれて、泣いた後は必ず笑顔にしてくれる。
…そんな彼を好きになったのは、いつからだろう。