また君に恋をする
「一緒に帰ろ。」
「龍也は?」
「いいのいいの!たまには一緒に帰ろうよ。」
そう言ってくれた芽衣に返事をして、私は早々と帰る支度をした。
「で?どうしたの?」
「え?」
「悩んでるなら言ってよね。」
ゆっくりと家路を歩く私たち。
隣を歩く芽衣は、私にそう言って寂しそうに小さく笑った。
「芽衣…。」
それから私は彼女の優しさに甘えて、全てを話した。
時々思い出す何かと、思い出そうとすると襲ってくる頭痛。
奏多くんが好きなことも、彼に好きな女の子がいることも全部。
「奏多くんと話すと楽しくて、名前を呼ばれると嬉しいのに…、今は苦しいの…。」
「…うん。」
家の近くの公園で、泣きながら話す私の手をギュッと握ってくれる芽衣。
まるで自分のことのように聞いてくれる。
「だけど…、1番好きな人を好きでいたいの…、わがままだよね…。」