また君に恋をする
*・*・*・*
目を開けると、私は薄暗い部屋にいた。
体は、冷んやりつめたいコンクリートの上に横たわっている。
「起きたか。」
目の前のソファに偉そうに座る男と、その横には見覚えのある顔が並んでいた。
「そっか…。」
拉致られたんだ。
奏多と楽しみにしてた夏祭りを邪魔されて、連れ去られたんだ。
「お前が瀬崎の女か。」
座っていたソファから腰を上げて、私の目の前にしゃがむ男。
私を舐め回すように見る男の目は、相当狂っていた。
「さすが喜連の総長。お目が高い。」
「ここどこ?」
「強気なんだな。」
青いメッシュの入った男は馬鹿にしたように嘲笑い、またソファへ戻っていった。
多分、ここのトップだろう。
「白鷺(シラサギ)の倉庫だ。」
「白鷺…、」
「あぁ。瀬崎から聞いたことあるだろ。」
白鷺という名前は、昨日聞いたばかりだ。
奏多が私に詳しく教えてくれるのは、敵対している族と大規模な族だけ。
白鷺は今1番敵対していると昨日言っていた。
「目的は?」
冷たく私は言った。
まだ話はできる状況だけど、それがいつ壊れるかわからない。
時間稼ぎを必ずしろと奏多に言われ続けてきたから。