また君に恋をする


「優しくしてやるよ。」




そう言って浴衣にかけられた手。


綺麗に着付けてもらった浴衣も、仕上げてもらった髪も、全部崩れた。




「嫌!」




そう叫ぶ私の口に、男は自分の口を押し付けた。


必死に閉じていた私の口は、男の力によってこじ開けられ、中に舌が入ってきた。



首元につけていた奏多からもらったネックレスは引きちぎられ、そのまま乱暴に投げた。


ネックレスが床に転がる寂しい音と同時に、ずっと我慢していた涙が一気に溢れ出す。


頬をポタポタと伝うソレは私の弱さを示した。



グッと浴衣を下げられて、露わになる肌。


嫌だ…、奏多以外となんて考えられない。



帯をつけたまま、腰まで下げられた浴衣に次に手をかけられた下着。


終わった。


もう終わりだ。



全身の力が抜けた時、勢いよく部屋の扉が開いた。

< 40 / 289 >

この作品をシェア

pagetop