また君に恋をする
少し走って路地裏に逃げ込んだ私は、焦った手で再びかかってきた芽衣の電話にでた。
『もしもし桃?』
「うんっ、どうしたの…っ?」
『桃?どうしたの?何かあったの?』
「ああっ、ちょっと、はぁ…、追いかけられててっ…、」
『え?』
走ったせいか、息が切れて上手く話せない。
電話をかけてきた芽衣は、そんな私に驚いている。
『何があったの?!今どこ?!』
「繁華街のっ、はぁっ…、路地裏っ…、」
『わかった!行くから待ってて。動いちゃダメだよ!』
「わかったっ、ありがとうっ…。」
プツリと切れた電話は、私を不安と寂しさで襲う。
…来てくれる。
大丈夫。
きっと大丈夫…。
「みーつけた。」
だけど、息を整えて顔を下げていた私の頭の上から降ってきた声。
路地裏にその声がよく響いた。
見なくてもわかる。
芽衣より先に見つけられてしまった。
足を抱えて顔を埋めて座っていた私は、ゆっくりと顔を上げる。