また君に恋をする
「さっきはどうも。」
しゃがんで私に目線を合わせた彼は、また胡散臭い笑顔を向ける。
その後ろには5、6人の男もいた。
「私、あんたになんかした?」
「お前の彼氏がな。」
「は?私に彼氏なんか…、」
…いない、よね。
うん…、いないじゃん。
何でいないって言えないの?
「てめぇ!女だからってあんま調子こいてんじゃねーぞ。」
痺れを切らしたのか、宮脇は私を強引に立たせて手を振りかざした。
…殴られる。
私はギュッと目を閉じて、痛みを耐える覚悟をした。
……………
………
…………
だけど、いつまで経っても痛みはこない。
恐る恐る目を開けると、目の前には自分の拳を見て固まっている宮脇がいた。
私に痛みが来なかったのは、誰かが宮脇の拳を受け止めていたから。