また君に恋をする
「そう!奏多くんって言ってね、」
「奏多…?」
「そう!奏多。いい名前だよね。」
「…そうかい。」
「それでね、さっき会ったばかりなのにすごく仲良くなってね、」
「あとでゆっくり聞くから、先に着替えてきなさい。」
「あ、そうだね。忘れてた。」
話すことに夢中になっていた私は、座っていた椅子から立ち上がった。
さっき置いたばかりの、スクールバックとリボンを手に取る。
そのままリビングを後にして、2階に続く階段を軽い足取りで登った。
「桃、奏多…、よかったね…。」
だから気づかなかった。
おばあちゃんがそう言っていたことも、目に涙を溜めて喜んでいたことも。