また君に恋をする



【奏多side】



“ 桃が一部の記憶を失ってしまった ”


“ その一部は奏多なんだ ”



頭をハンマーで殴られるって、こういうことなんだろうなと思った。



頭が真っ白になった。


いつもすぐに回転する頭は動かない。



夏祭りの日、拉致られた桃を助けに行った。


俺が少し目を離した隙になんて、運が悪かった。


冷静に考えればそう思うけど、桃のことになると俺はいつも歯止めが効かなくなってしまう。



数分でついた白鷺の倉庫の前で、既にやつらはスタンバイしていた。



桃が前から楽しみにしていた夏祭り。


俺もあいつには言わないけど、楽しみだった。


本祭の準備だって、あいつとの予定があるからいつも頑張れた。

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