昨日の夢の続きを話そう
現場が休みの日曜日、おばあちゃんの月命日。
黄色いお花と、好物だった抹茶と小豆のクッキーを買って、私はお墓の前で手を合わせて呟いた。


「また来るね、おばあちゃん」


借りた桶を管理所に返して、クッキーが入った紙袋を片手に提げ、とぼとぼ歩く。
十月も中旬に差し掛かってるにしては、日差しがぽかぽかしていて秋の陽気を感じた。

環状道路から県境に向かった、山の斜面に墓地はある。帰りは下り道。

背中を押されるようにして歩き、ちょうど現場の前を通りかかったとき、見覚えのある人物が立っているのが見えた。
ブルーシートで覆われた住居跡を、興味深げに眺めている。

私はどうしようか逡巡したが、歩調を緩めていたときに、相手がぱっとこちらを見た。


「あ、こんにちは」


一瞬驚いて目を見開いたけど、相手はすぐににこりと人なつこい笑顔を私に向けた。
花時計カフェの、イケメン店員さんだ。

こないだ泣いてしまったので、恥ずかしいし、ばつが悪い。


「こんにちは。先日はどうも、ありがとうございました」


私は足を止め、頭を下げた。


「いえ。あのスープ、気に入ってもらえたのならなによりです」


タブリエもすごく似合ってるんだけど、私服姿の店員さんはカジュアルなのに品があって、ますますモデルさんみたいでカッコよかった。


「すごく美味しかったです」


私は素直に感想を言った。
それは本当に本心だった。
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