昨日の夢の続きを話そう
私は真面目に答えた。
砂岡くんが指差した先には、確かに細長いモグラトンネルがあったからだ。でも。


「いや、その長いのじゃなくて、隣の丸いのです」
「あ。はは……」


なんだ、あっちか。

砂岡くんがもう一度指差したのは、直径二十センチほどの綺麗な形の丸い穴だった。
真顔で〝モグラです〟とか……。私ってば、かなり恥ずかしい奴。


「あれは、なんのために掘ったのかは、わからないんです」


照れて笑いながら私は続けた。


「住居の中にあるのは柱とかが刺さってた跡らしいんですけど、外にあるのは、うーん、なんなんでしょうか? 私、ただ土を掘るバイトなので、あんまり詳しいことはわからないんです。家の外にもなにかのために柱を立ててたのか……」


我ながら、なんともとんちんかんで無責任な回答だったと思うけど、砂岡くんは真剣な表情で、うんうんと頷きながら聞いてくれた。


「それか、モグラ叩きをしてたのかなぁ」
「リアルモグラ叩きだね」


遠くにある穴を眺めながら、砂岡くんが言った。
自然にクスリと笑った私に、砂岡くんはひひっといたずらな笑顔を向けた。


「砂岡くんは遺跡とか歴史とか、興味あるんですか?」
「それほどではないんだけど……。いつもこの道、車で通るから。どんな感じか気になってて、今日は散歩がてらゆっくり見てみようかなぁと」
「なるほど」


そんな会話をしながら歩き進み、花時計カフェに着くと、彼は臆面もなく厨房に向かった。
新人にしては、やたら堂々としているなぁと感心した。
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